「来月から夜勤に入ってもらうね」
先輩や上司からそう言われた瞬間、
「ついに来た……」
と不安になった新人看護師さんもいるのではないでしょうか。
日勤ですら、まだ分からないことだらけ。
時間通りに仕事が終わらない日もある。
先輩に聞かないと判断できないこともたくさんある。
それなのに夜勤になれば、日勤よりスタッフの人数は少なくなります。
もし患者さんが急変したら?
ナースコールが重なったら?
自分が気づかないまま患者さんの状態が悪くなったら?
先輩に迷惑をかけたら?
考えれば考えるほど、
「私に夜勤なんてできるのかな……」
と思ってしまいますよね。
でも、初夜勤を迎えるあなたに最初に伝えたいことがあります。
初夜勤で、ベテラン看護師と同じように働く必要はありません。
必要なのは、すべてを一人で判断できることでも、夜勤業務を完璧にこなすことでもありません。
「何を確認するのか」
「どんな時に相談するのか」
「次に何が起こりそうなのか」
まずは、この3つを少しずつ身につけていけば大丈夫です。
今回は、初夜勤を迎える新人看護師さんに向けて、
「夜勤前にこれだけは知っておいてほしい」
という仕事のポイントをまとめます。
目次
- ① 夜勤が怖いのは「何が起こるか分からない」から
- ② 夜勤の情報収集は「今夜何が起こりそうか」を考える
- ③ 消灯までに「夜中に困りそうなこと」を減らしておく
- ④ 巡視は「寝ているから大丈夫」で終わらせない
- ⑤ 「何か変」は、一人で答えを出そうとしない
- 「相談したい。でも、なんて言えばいい?」
- ⑥ 休憩に入る前に「自分がいない時間」を考える
- ⑦ 夜勤は「朝」を逆算して動く
- 夜勤全体の流れが分からない人へ
- 初夜勤で100点を取らなくていい
すべて表示
① 夜勤が怖いのは「何が起こるか分からない」から
夜勤が怖い理由の一つは、
「先が見えないこと」
だと思います。
日勤なら周囲に看護師がいて、医師や他職種も比較的多くいます。
分からないことがあれば誰かに聞きやすい。
何か起きても周囲に人がいる。
でも、夜になるとスタッフは少なくなります。
その状態で、複数の患者さんを長時間みることになります。
だから、
「急変したらどうしよう」
「自分しか気づかなかったらどうしよう」
「先輩に迷惑をかけたらどうしよう」
という不安が大きくなります。
でも逆に考えると、
夜勤で確認すべきことや、おおまかな仕事の流れが分かれば、不安は少し小さくできます。
何が起こるか全く分からない状態で夜勤に入るのと、
「まずこれを確認しよう」
「この時間にはこれをしよう」
とある程度イメージできた状態で入るのでは、気持ちは全く違います。
夜勤の不安をゼロにする必要はありません。
まずは、
「何をすればいいのか分からない」
を一つずつ減らしていきましょう。
② 夜勤の情報収集は「今夜何が起こりそうか」を考える
新人の頃は、
「情報収集しなきゃ」
と思うと、カルテに書いてある情報を全部集めようとしてしまいがちです。
既往歴。
検査データ。
治療経過。
内服。
点滴。
ADL。
食事。
排泄。
もちろん必要な情報はあります。
でも、時間には限りがあります。
夜勤で特に意識してほしいのは、
「この患者さんに、今夜何が起こる可能性があるか?」
という視点です。
例えば、
・今日、手術をした患者さん
・酸素投与中の患者さん
・発熱している患者さん
・血圧が不安定な患者さん
・せん妄や不穏がある患者さん
・転倒リスクが高い患者さん
・点滴やドレーン類が多い患者さん
・夜間にも点滴交換や血糖測定がある患者さん
こうした患者さんは、夜間にも注意が必要です。
そして情報を集めながら、
「この人は今夜、何を重点的に観察する?」
まで考えてみます。
情報収集の目的は、
カルテの情報をたくさんメモすることではありません。
夜勤中の行動につなげるために情報を集めることです。
「この患者さんは呼吸状態に注意しよう」
「この患者さんは夜中に点滴交換がある」
「この患者さんは夜間に一人でトイレへ行くかもしれない」
ここまで考えられると、情報が「夜勤で使える情報」に変わります。
そこで、
「夜勤前に何を調べればいいか分からない」
という新人看護師さんのために、
「夜勤開始時の情報収集チェックリスト」
を作りました。
勤務前の情報収集で迷った時に使ってみてください。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。

すべてを暗記する必要はありません。
このチェックリストを見ながら、
「今夜、一番注意して見る患者さんは誰だろう?」
「夜中に予定されている処置は何だろう?」
と考えてみてください。
情報収集のゴールは、
患者さんの情報を全部覚えることではありません。
「今夜、この患者さんに何が起こりそうか」
を予測することです。
③ 消灯までに「夜中に困りそうなこと」を減らしておく
夜勤を少し楽にするコツがあります。
それは、
「先回りすること」です。
例えば点滴。
今の残量なら何時頃になくなりそうか。
夜間に交換予定の輸液はあるか。
抗菌薬は何時か。
例えば排泄。
頻尿の患者さんなのか。
トイレ介助が必要なのか。
夜間に一人で動いてしまう可能性はないか。
例えば疼痛。
手術後で夜間に痛みが強くなりそうなら、必要な観察や鎮痛薬の指示を事前に確認しておく。
「何か起きてから考える」
のではなく、
「今夜、何が起きそうか」
を先に考えておく。
これだけでも夜勤中の「しまった」が少しずつ減っていきます。
夜勤は、目の前の仕事だけを終わらせていくのではなく、
「1時間後、2時間後の自分を少し助けておく」
という感覚が大切です。
④ 巡視は「寝ているから大丈夫」で終わらせない
夜間巡視で患者さんが眠っていると、
「よし、寝てる」
と安心したくなることがあります。
でも、
「寝ているように見える=問題がない」
とは限りません。
患者さんの状態に合わせて、
呼吸状態はどうか。
いつもと違う呼吸をしていないか。
意識状態に変化はないか。
酸素は指示どおり投与されているか。
点滴は問題なく投与されているか。
ドレーン類に異常はないか。
必要な体位が保たれているか。
転倒につながる環境になっていないか。
必要な項目を観察します。
特に大切にしてほしいのが、
「さっきと何か違う」
という感覚です。
新人だから、
「自分の気のせいかもしれない」
と思うこともあるかもしれません。
でも、そこで違和感を打ち消さないでください。
患者さんの変化に気づくきっかけは、
必ずしも大きなバイタルサインの変化とは限りません。
「なんとなくいつもと違う」
と感じたら、もう一度患者さんを観察する。
そして必要なら、先輩に相談する。
それも大切な看護です。
⑤ 「何か変」は、一人で答えを出そうとしない
夜勤で一番怖いことの一つが、
患者さんの急変ではないでしょうか。
でも、新人看護師に、
「一人で急変の原因を診断してください」
と求めているわけではありません。
大切なのは、
異変に気づく。
必要な観察をする。
そして必要なタイミングで応援を求めることです。
例えば、
・急に反応が悪くなった
・呼吸がおかしい
・SpO₂が低下した
・血圧が大きく低下した
・突然胸痛を訴えた
・冷汗が出ている
・明らかに「いつもと違う」
そんな時に、
「もう少し様子を見てから……」
と一人で抱え込まないことです。
迷ったら、
「〇〇さんなんですが、いつもと様子が違うので一緒に見てもらえますか?」
と先輩に声をかけても構いません。
もちろん緊急性が高い場合は、部署や病院で定められている急変対応・応援要請の方法を優先してください。
新人のうちは、
「相談するべきだったのに相談しなかった」
よりも、
「相談した結果、大丈夫だった」
の方がいい。
それくらいの感覚でいてください。
「相談したい。でも、なんて言えばいい?」
ここでもう一つ、新人看護師さんが悩みやすいことがあります。
「相談した方がいいのは分かっている。でも、先輩になんて言えばいいのか分からない」
という悩みです。
患者さんの状態が気になる時。
自分の判断に自信がない時。
業務が重なって、どうしても手が回らない時。
処置や手技の前に確認しておきたい時。
ミスをしてしまい、報告しなければならない時。
そんな時に、
「どうやって声をかけよう……」
と考えているうちに、相談するタイミングを逃してしまうことがあります。
でも、相談するときに難しい言葉を使う必要はありません。
大切なのは、
「今、何が起きているのか」
「自分は何に困っているのか」
「先輩に何をお願いしたいのか」
を伝えることです。
例えば患者さんの状態が気になるなら、
「〇〇さんなんですが、いつもと比べて呼吸が少し速いように感じます。一緒に見ていただけますか?」
業務が重なっているなら、
「今、ナースコール対応中で、〇〇さんの点滴が時間になりそうです。どちらを優先すべきか相談させてください」
処置に自信がなければ、
「初めて行う処置なので、手順が合っているか一緒に確認していただけますか?」
これで大丈夫です。
そこで、
「こんな時、先輩になんて言えばいい?」
と迷った時に使えるように、
「新人看護師のための 先輩への相談フレーズ」
を資料にまとめました。

患者さんの状態が気になる時。
判断に迷った時。
業務が重なった時。
患者さん・家族への対応に困った時。
処置や手技を確認したい時。
ミスをしてしまった時。
場面ごとに、そのまま使える相談フレーズを載せています。
夜勤中に、
「なんて言おう……」
と一人で悩んでしまった時に思い出してもらえたら嬉しいです。
相談することは、
仕事ができない証拠ではありません。
「自分だけでは判断できない」
と気づいて周囲の力を借りることも、患者さんの安全を守るために必要な行動です。
特に初夜勤では、一人で何とかしようとしなくて大丈夫です。
⑥ 休憩に入る前に「自分がいない時間」を考える
夜勤では休憩や仮眠もあります。
その前に確認してほしいことがあります。
「自分がいない間に何か予定されていないか?」
ということです。
点滴交換。
抗菌薬。
血糖測定。
排泄。
鎮痛薬。
患者さんの状態変化。
自分が離れている時間に起こりそうなことを確認して、必要な内容を休憩中に担当する看護師へ共有します。
「〇時に抗菌薬があります」
「この患者さんはさっきから血圧が低めなので見てもらいたいです」
など、必要な情報を伝えてから休憩に入る。
休憩前に数分確認するだけでも、安心して休みやすくなります。
そして休憩することも仕事の一部です。
夜勤は長時間勤務です。
休めるタイミングでは、きちんと身体を休めてください。
⑦ 夜勤は「朝」を逆算して動く
夜勤に慣れていない頃、
「夜が終わった!」
と思ったところから、一気に忙しくなることがあります。
そう。
朝です。
採血。
検温。
血糖測定。
内服。
点滴。
排泄。
清潔ケア。
記録。
そして日勤への申し送り。
いろいろな業務が重なります。
だから、
「朝になってから朝の仕事を始める」
のではなく、
「何時までに何を終わらせればいいか」
を逆算して考えることが大切です。
例えば、
「6時から採血と検温がある」
のであれば、
「5時台にはできる記録を進めておこう」
「必要物品を準備しておこう」
と考えます。
最初から上手にできなくても大丈夫です。
一度夜勤を経験すると、
「この時間から記録しておいた方がいいな」
「この患者さんは早めに準備しておこう」
「ここで点滴を確認しておけば後が楽だな」
と少しずつ分かってきます。
それが夜勤の経験値です。
夜勤全体の流れが分からない人へ
初夜勤前は、
「そもそも夜勤って、何時頃に何をするの?」
ということ自体が分からないと思います。
もちろん、勤務時間や業務内容は病院・部署によって大きく異なります。
ですが、
「夜勤全体をどう組み立てていくか」
というイメージを持っておくだけでも、初夜勤の不安は少し減らせます。
夜勤開始。
申し送り。
巡視。
点滴。
内服。
消灯。
巡視。
休憩。
早朝業務。
記録。
申し送り。
こうして一度書き出しておくだけでも、
「次に何をすればいいんだろう」
という不安を減らすことができます。
そして可能なら、初夜勤前に自分だけのタイムスケジュールを書いてみることをお勧めします。
僕はA4の用紙の左側に1時間おきの目盛りを書いて、
点滴や血糖測定、巡視などの予定を書き出して
スケジュールを把握するようにしていました。
スケジュールの把握が苦手な方は、
是非一度やってみてください。
初夜勤で100点を取らなくていい
初夜勤の日。
きっと何度も時計を見ると思います。
「まだ0時か……」
「あと何時間あるんだろう」
「ちゃんと朝までできるかな」
そんなことを考えるかもしれません。
でも、初夜勤で求められているのは、
ベテラン看護師と同じように完璧に働くことではありません。
分からなければ聞く。
患者さんがおかしいと思ったら報告する。
困ったら助けを求める。
そして、一人で抱え込まない。
まずはそれで十分です。
初めて夜勤に入って、
患者さんをみて、
分からないことを先輩に聞きながら、
一つひとつ仕事をして、
そして朝を迎える。
それだけでも、昨日までのあなたにはなかった経験が一つ増えています。
最初から夜勤が怖くなかった看護師ばかりではありません。
何度も夜勤を経験して、
失敗して、
先輩に助けてもらって、
少しずつ、
「今日はここを先に見ておこう」
「この患者さんは早めに確認しておこう」
と分かるようになっていきます。
だから今、
「初夜勤が怖い」
と思っているあなたへ。
怖いままでも大丈夫です。
全部できるようになってから夜勤に入るのではありません。
夜勤を経験しながら、
少しずつできることを増やしていけばいい。
初夜勤を終えた時、
「完璧にできた」
じゃなくていいんです。
「分からないことを聞けた」
「患者さんの変化を報告できた」
「昨日より一つできることが増えた」
それも立派な成長です。
一人で抱え込まずに、つながれる場所を
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事を読んで、
「少しだけ夜勤のイメージができた」
「これなら準備できるかもしれない」
そう思ってもらえたら嬉しいです。
僕はInstagramでも、新人看護師さんに向けて、
「学校では教えてくれないけれど、現場では知っておきたいこと」
を中心に発信しています。
急変対応や疾患・看護の知識だけではなく、
「先輩への報告が怖い」
「仕事が終わらない」
「スケジュール管理ができない」
「自分だけ成長できていない気がする」
そんな新人看護師さんが現場で感じやすい悩みについても発信しています。
「明日の勤務でこれだけ覚えておこう」
と思える内容を探している方は、Instagramも覗いてみてください。
そして、
「誰かに聞いてほしいけど、職場の人には話しにくい」
「先輩との関係がつらい」
「仕事に行くのが怖い」
「辞めたいほどつらい。でも、本当に辞めたいのか自分でも分からない」
そんな時のために、公式LINEも用意しています。
答えが欲しい時だけでなく、
「ちょっと聞いてほしい」
という時でも構いません。
一人で考え続けて苦しくなる前に、つながれる場所の一つとして使ってもらえたらと思っています。
また、
「文章ではなく、実際に誰かと話したい」
という方に向けて、ココナラでも看護師さんのお話を聞いています。
答えを押しつけるのではなく、
「何が一番つらいのか」
「どうして仕事に行くのが苦しくなっているのか」
「本当はどうしたいのか」
を一緒に整理していく場所です。
Instagramでも。
公式LINEでも。
ココナラでも。
あなたが一番話しやすい方法を選んでください。
そして最後に、もう一つだけ。
初夜勤を一人で完璧にこなす必要なんてありません。
困ったら聞く。
迷ったら相談する。
そして、できなかったことだけを持って帰らない。
「今日はこれができた」
を一つだけでも持って帰ってください。
初夜勤を終えて病院の外に出た時、
「とりあえず終わった……!」
それで十分です。
その一回が、
看護師としてのあなたの経験に、ちゃんと積み重なっています。
初夜勤を迎えるあなたが、
少しでも安心して朝を迎えられますように。
公式LINE
Instagramアカウント
InstagramCreate an account or log in to Instagram – Share what you’rewww.instagram.com
ココナラ

コメント