はじめに
「半年も働いたのに、私って全然できるようになってない」
朝、目覚ましが鳴ると胸が重くなる。
「今日、ミスしたらどうしよう」
「また先輩に注意されたら嫌だな」
そんな不安を抱えながら、一日を始めている人もいるのではないでしょうか。
少しだけ、入職したばかりの4月を思い出してみてください。
物品の場所も分からない。
先輩に話しかけるだけで緊張する。
ナースコールが鳴るたびに慌てる。
申し送りでは何を話せばいいのか分からず、質問することさえ怖い。
そんな毎日だったと思います。
それから約半年。
受け持ち患者さんが増え、一人でできる処置も増えました。
検査出し、点滴、内服、清潔ケア、記録。
少しずつ、自分で考えて動けるようになってきたはずです。
先輩に言われなくても、
「そろそろ点滴交換だ」
「この患者さん、いつもと少し違うかも」
と気づけることも増えました。
ナースコールが鳴っても、4月のように立ち尽くすことは少なくなった。
患者さんへの声かけも、以前より自然にできるようになった。
間違いなく、あなたは成長しています。
それでも、仕事が楽になったとは感じられないかもしれません。
帰宅してからも、
「あの報告、遅くなかったかな」
「もっと早く気づけたんじゃないかな」
と一日のことを考え続けてしまう。
できることが増えたからこそ、自分の足りない部分も見えるようになったのです。
半年経つと「新人だから」が少しずつ通用しなくなる
4月は分からなくても先輩たちの方から
「新人だから仕方ないよ」
と口癖のようにフォローを入れてくれて、
先輩が確認してくれたり、一緒に処置してくれたりしたでしょう。
でも半年経つと、
「これはもうできるよね?」
「前にも教えたよね?」
「そろそろ自分で考えてみようか」
と、求められることが増えてきます。
それは成長を期待されている証拠でもあります。
けれど、
「まだできないことがたくさんある」
「一人で判断するのは怖い」
というのが本音ではないでしょうか。
患者さんの状態を見ながら、
「すぐ報告するべき?」
「もう少し様子を見てもいい?」
「こんなことで呼んだら迷惑かな?」
と迷ってしまう。
質問したくても、先輩が忙しそうだと声をかけにくい。
周りからは少しずつ一人前として見られ始めるのに、自分の中にはまだ不安が残っている。
その差が、この時期を苦しくします。
同期との差が見え始めるのもこの頃です
「あの子はもう夜勤に入っている」
「あの子は重症患者を受け持っている」
同期の成長が見えると、自分と比べてしまいます。
「私だけ遅れている」
「看護師に向いていないのかな」
そう思うこともあるでしょう。
でも、半年間で身についたものは、手技や知識だけではありません。
患者さんへの声かけ。
報告のタイミング。
優先順位の考え方。
危険を予測する視点。
忙しいときに周りを見る力。
分からないまま進めず、確認する力。
4月にはできなかったことを、あなたは少しずつ身につけています。
ただ、自分では気づきにくいだけです。
「できないこと」が見えるようになったのも成長です
新人の頃は、何が分からないのかすら分かりません。
でも半年働くと、
「この患者さん、状態が変化するかもしれない」
「この報告は、もう少し早くすればよかった」
と、自分の課題が見えてきます。
すると、
「私、全然できていない」
と思ってしまう。
けれど、できないことが見えるようになったのは、あなたの視野が広がったからです。
4月のあなたには見えていなかったものが、今は見えている。
だからこそ、苦しく感じるのです。
それは後退ではなく、成長の途中にいる証拠です。
ここで「自分はダメだ」と決めないでほしい
この時期に、
「自分には看護師の才能がない」
と決めつけないでください。
できない自分を責め、同期と比べ、分からないことを聞けなくなると、ますます苦しくなります。
半年で完成する看護師はいません。
今必要なのは、できないことをすべてなくすことではなく、昨日より一つできることを増やすことです。
昨日できなかった報告ができた。
患者さんの変化に少し早く気づけた。
忙しくなる前に相談できた。
分からないことを確認できた。
それで十分です。
その小さな積み重ねが、これからのあなたを作ります。
半年後、今とは違う景色が見えている
これからも失敗するでしょう。
先輩に注意される日も、仕事が終わらず落ち込む日もあると思います。
それでも、今日までの経験はなくなりません。
怖くても患者さんのもとへ行ったこと。
分からなくても考えたこと。
勇気を出して報告したこと。
その一つひとつが、あなたの力になっています。
そして半年後、新しい新人看護師が入ってきます。
その子が不安そうにしていたら、
「自分も半年前、同じだったな」
と思うかもしれません。
「大丈夫だよ。分からないことがあったら、一緒に確認しよう」
と声をかけられる日が来るかもしれません。
そのとき初めて、
「私、ちゃんと成長していたんだ」
と気づくのだと思います。
半年間、本当によく頑張りました
半年間、楽しいことばかりではなかったでしょう。
怒られた日も、家に帰って泣いた日もあった。
「明日、仕事に行きたくない」と思った夜もあったかもしれません。
それでも次の日、病院へ行き、白衣に着替え、患者さんの前に立った。
分からないなりに考え、怖くても報告した。
そして今日まで看護師を続けてきた。
それだけで、この半年間は決して無駄ではありません。
「半年も経ったのに、まだできない」ではなく、
「まだ半年なのに、ここまでできるようになった」
と考えてみてください。
新人看護師の一年目は、完成するための一年ではありません。
失敗し、迷いながら、少しずつ自分なりの看護を作っていく一年です。
まだ完璧でなくていい。
不安があってもいい。
ここからの半年で、また少しずつ成長していけばいいのです。
半年間、本当によく頑張りました。

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