新人看護師が医師に言えないこと、実はこんなにあります。

「先生、ちょっといいですか?」

たったこれだけの言葉なのに、言うまでにものすごく勇気がいる。

新人看護師になって、私は初めて知りました。

医師に話しかけるって、こんなに緊張するんだ。

ナースステーションに先生がいる。

報告したいことがある。

聞きたいこともある。

でも、先生は忙しそうにパソコンを見ている。

「今話しかけたら迷惑かな」

「あとにしたほうがいいかな」

「でも、あとにしたら忘れそう……」

そんなことを考えているうちに、先生がどこかへ行ってしまう。

そして心の中で、

「……聞けなかった」

と落ち込む。

これ、新人看護師なら一度は経験したことがあるんじゃないでしょうか。

目次

  1. ①「こんなことも知らないの?」と思われるのが怖い
  2. ②指示を聞き返したい。でも聞き返せない。
  3. ③医師への電話は、ちょっとした試練
  4. ④でも、医師のことを「怖い」だけだと思わないでほしい
  5. ⑤そして、たった一言で救われる
  6. ⑥新人看護師が本当に避けたいもの
  7. ⑦本当は、もっと頼りたい
  8. ⑧最後に、医師に言えない本音

①「こんなことも知らないの?」と思われるのが怖い

新人だから、分からないことがあって当然。

頭では分かっています。

でも、実際に医師を目の前にすると、

「こんなこと聞いたら、勉強不足だと思われるかな」

という気持ちが出てくる。

専門用語が分からない。

指示の意味が分からない。

患者さんの状態について、もう少し詳しく聞きたい。

本当なら、全部聞けばいい。

分からないままにしてはいけない。

それも分かっている。

でも、

「そんなことも知らないの?」

と思われるのが怖い。

だから、一度「分かりました」と言ってしまう。

そしてその場を離れてから、

「……やっぱり分からない」

となる。

スマホで調べる。

参考書を開く。

先輩に聞く。

それでも分からない。

「最初から先生に聞けばよかった……」

そう思うこともあります。

②指示を聞き返したい。でも聞き返せない。

医師から指示をもらった。

「はい、分かりました」

と返事をする。

でも、本当はちょっと分かっていない。

「この指示って、こういう意味で合ってるよね?」

確認したい。

だけど、

「さっき言ったよね?」

と思われたらどうしよう。

「ちゃんと聞いてなかったの?」

と思われたらどうしよう。

そう考えると、もう一度聞くことができない。

でも、新人看護師が本当に怖いのは、怒られることだけではありません。

確認しなかったことで、患者さんに迷惑をかけること。

自分の判断ミスでインシデントにつながること。

あとから「なんで確認しなかったの?」と言われること。

これが一番怖い。

だからこそ、

「聞かなきゃいけない」

と

「聞くのが怖い」

が、いつも自分の中で戦っています。

③医師への電話は、ちょっとした試練

新人看護師にとって、医師への電話はかなり緊張します。

電話をかける前に、伝える内容を頭の中で何度も整理する。

患者さんの名前。

年齢。

診断名。

現在のバイタル。

症状。

これまでの経過。

自分が何を伝えたいのか。

「よし、これで大丈夫」

と電話をかける。

プルルル……。

「はい、〇〇です」

その瞬間、頭が真っ白になる。

さっきまで言おうと思っていたことが、全部どこかへ飛んでいく。

「えっと……その……」

電話を切ったあとも、

「ちゃんと伝わったかな」

「余計なこと言わなかったかな」

「もっと簡潔に話せばよかった」

と、一人反省会が始まる。

そして次に電話するとき、また緊張する。

新人看護師にとっては、ただの電話一本でも、かなりの精神力を使っています。

④でも、医師のことを「怖い」だけだと思わないでほしい

ここまで読むと、

「新人看護師って医師が嫌いなの?」

と思われるかもしれません。

でも、たぶん違います。

むしろ逆です。

新人看護師は、医師のことをものすごく見ています。

急変した患者さんを前にして、冷静に判断する姿。

患者さんや家族に、難しいことを分かりやすく説明する姿。

自分が知らない知識を当たり前のように使っている姿。

「すごいな」

と思うこともたくさんあります。

だからこそ、

「変なことを言いたくない」

「ちゃんとした報告をしたい」

「できる看護師だと思ってもらいたい」

という気持ちも強くなる。

つまり、

怖い=嫌い

ではないんです。

むしろ、

尊敬しているからこそ、失敗したくない。

そんな気持ちもあります。

⑤そして、たった一言で救われる

新人看護師にとって、医師からの「ありがとう」は思っている以上に大きいです。

「報告ありがとう」

「助かったよ」

「さっきの対応よかったね」

たった一言。

それだけなのに、

「ちゃんと役に立てたんだ」

と思える。

新人の頃は、毎日が失敗の連続です。

仕事が遅い。

先輩に迷惑をかける。

勉強が足りない。

患者さんへの対応がうまくできない。

何をしても「自分はまだまだだ」と感じる。

そんなときに医師からもらった、

「ありがとう」

の一言。

それだけで、その日一日が少し報われたような気持ちになることがあります。

⑥新人看護師が本当に避けたいもの

新人看護師が避けたいのは、

「医師に怒られること」

だけではありません。

本当に避けたいのは、

分からないのに、分かったふりをすること。

そして、

聞かなかったことで、あとから後悔すること。

です。

「もっと早く聞けばよかった」

「確認しておけばよかった」

「どうしてあのとき聞けなかったんだろう」

そんな後悔はしたくない。

だから、本当はもっと質問したい。

もっと報告したい。

もっと患者さんについて相談したい。

でも、新人だからこそ、

「何を聞けばいいのか」

「どこまで聞いていいのか」

「どう伝えればいいのか」

が分からない。

それが、新人看護師なのだと思います。

⑦本当は、もっと頼りたい

新人看護師が医師に求めているのは、特別扱いではありません。

何でも優しく教えてほしいわけでもありません。

ただ、

「分からないことを聞いても大丈夫」

と思える空気がほしい。

それだけで、きっと変わります。

質問できる。

報告できる。

確認できる。

そして、自信を持って患者さんと向き合える。

結果的に、それは患者さんの安心にもつながっていく。

「怒られないために聞く」のではなく、

「患者さんを守るために、ちゃんと聞ける」

ようになること。

新人看護師にとって、それはすごく大きな成長だと思います。

⑧最後に、医師に言えない本音

「先生、怖いです」

「話しかけづらいです」

「忙しそうで声をかけられません」

新人看護師は、そんなことを思うことがあります。

でも、その言葉の裏側には、

「本当はもっと頼りたい」

「もっと患者さんのことを相談したい」

「ちゃんと連携できる看護師になりたい」

という気持ちがあります。

だからもし、この記事を読んでいる医師がいたら。

新人看護師が少し緊張した顔で、

「先生、ちょっといいですか?」

と声をかけてきたとき。

もしかすると、その一言を言うまでに、頭の中で何度も練習していたのかもしれません。

話しかけるだけで、かなり勇気を振り絞っているのかもしれません。

そんなとき、

「どうした?」

と一度聞いてもらえたら嬉しい。

そして、

「報告ありがとう」

と言ってもらえたら、たぶん新人看護師は思っている以上に救われます。

いつか、

「先生、ちょっといいですか?」

を、もっと自然に言えるようになる日が来る。

その頃には、きっと今より少しだけ自信を持って患者さんと向き合えている。

新人看護師が医師に言えないこと。

それは、単なる「不満」ではありません。

その奥には、

「ちゃんと患者さんを守れる看護師になりたい」

という気持ちがあります。

だから今日も新人看護師は、話しかけるタイミングをうかがいながら、心の中で何度もつぶやいています。

「……先生、ちょっといいですか?」

本当は、その一言を言うだけで精一杯なんです。

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