「もう看護師、辞めたいです」
そう思ったことがある新人看護師は、決して少なくありません。
毎日覚えることばかり。
先輩の目が怖い。
何度やっても仕事が終わらない。
患者さんの前では笑顔でいなければならない。
そして家に帰る頃には、心も身体もクタクタ。
「こんなはずじゃなかった」
看護師になるために何年も勉強して、国家試験を乗り越えて、やっと憧れていた看護師になった。
それなのに、なぜ新人看護師は辞めてしまうのでしょうか。
目次
- 新人看護師の約11人に1人が1年以内に離職する
- 理想と現実のギャップが大きすぎる
- 「できない自分」と毎日向き合わなければならない
- 本当に必要なのは「辞めない根性」ではありません
- 「辞めたい」と感じたときに取れる具体的な行動
- 1. つらい原因を書き出す
- 2. 信頼できる人に相談する
- 3. 休む時間を確保する
- 4. 改善を求める内容と期限を決める
- 5. 転職先の情報を集める
新人看護師の約11人に1人が1年以内に離職する
日本看護協会の調査では、新卒看護職員の離職率は例年1割前後で推移しています。
つまり、単純に考えれば新人看護師の約11人に1人が、看護師として働き始めて早い段階で職場を離れている計算になります。
これを「最近の若い人は我慢が足りない」の一言で片付けてしまうのは簡単です。
恥ずかしながら実際に私の働いている職場でも
「これだからZ世代は・・・」
「私たちの時代はもっと先輩が怖かった」
「なんでこんなことで心が折れるの?メンタル弱すぎ(笑)」
と話している声を耳にします。
でも、私はそうは思いません。
新人看護師が苦しくなる理由は、もっと複雑だからです。
理想と現実のギャップが大きすぎる
学生時代は、患者さんに寄り添うことの大切さを学びます。
しかし実際の現場では、
「ナースコールに行かないと」
「点滴も交換しないと」
「記録が終わってない」
「先輩に報告しないと」
「次の処置の準備もしないと」
と、次から次へと仕事が押し寄せます。
患者さんとゆっくり話したくても、その時間すら取れないことがあります。
「自分がやりたかった看護って、こんなものだったのかな」
「患者さんに寄り添いたいのに、寄り添えない」
先輩のプレッシャーや業務に追われ、
気づけば患者さんに向けたい気持ちの矢印が
いつの間にか自分の方にばかり向いている
自分が理想として掲げていた『看護師像』とは
程遠い状態になっていることに、絶望してしまう
このギャップに苦しむ新人看護師さんは少なくないでしょう。
「できない自分」と毎日向き合わなければならない
新人時代は、できなくて当たり前です。
しかし本人にとっては、その「できない」が毎日突きつけられます。
採血がうまくできない。
報告がまとまらない。
優先順位がつけられない。
急変すると頭が真っ白になる。
先輩から注意される。
同期が自分より仕事を任されている姿を見れば、
「自分だけ成長していないのでは?」
と焦ってしまいます。
そして、いつの間にか
「仕事ができない」ということが
「自分は看護師に向いていない」
に変わってしまうのです。
本当に必要なのは「辞めない根性」ではありません
新人看護師に必要なのは、どんなにつらくても耐え続ける力ではないと思います。
必要なのは、
「今日はこれができた」
という小さな成功体験。
「分からなかったら聞いていいよ」
と言ってくれる先輩。
失敗したときに、
「次はどうすればいいか」
を一緒に考えてくれる環境です。
新人看護師は、最初から完璧に仕事ができる必要なんてありません。
できないことが一つずつできるようになって、少しずつ「看護師」になっていけばいいのです。
そして一つずつできることが増えていくことを、一緒に喜び合える
仲間がいることが大切です。
もし今この記事を読んでくれている人の中に、
看護師長や教育担当の先輩、プリセプター世代の看護師さんがいるなら
新人看護師にとって、そういう仲間になってあげてほしいです。
「辞めたい」と感じたときに取れる具体的な行動
つらい気持ちを抱えたまま、いきなり退職を決めるのはもったいないし、とても危険な行為です。
自分に合った新しい職場の選定やそこに向かうための
メンタル調整を正しく行えるように
まずは、次のような行動を取ってみてください。
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1. つらい原因を書き出す
「辞めたい」という気持ちだけでは、何を変えればよいのか分かりにくいものです。
人間関係がつらいのか、夜勤が負担なのか、業務量が多いのか、教育体制に不満があるのかを、紙やスマートフォンに書き出してみましょう。
原因が整理できると、職場で改善できる問題なのか、環境を変えたほうがよい問題なのかが見えやすくなります。
まずつらさの原因となっていることを明確にするために
しんどい作業ですが、つらさと向き合うことが必要です。
2. 信頼できる人に相談する
一人で抱え込まず、プリセプターや直属の先輩、師長、教育担当者に相談してみてください。
「何ができないのか分からない」ではなく、
「優先順位をつけるのが難しく、勤務後も記録が終わりません」
「指導を受けると頭が真っ白になってしまいます」
「夜勤後の疲労が強く、生活に支障が出ています」
のように、具体的に伝えることが大切です。
職場の人に相談しにくい場合は、家族や友人、学校の先生、看護協会の相談窓口、産業医や心療内科など、職場の外にいる人を頼っても構いません。
誰かにあなたの気持ちを吐き出すこと
まずそこから始めましょう。
話していく内に、自分の感情や思いも
整理できることがありますよ。
3. 休む時間を確保する
疲れ切っていると、冷静に判断することが難しくなります。
休日に仕事の勉強を詰め込みすぎず、睡眠や食事を優先してください。有給休暇や休職制度を利用できる場合もあります。
眠れない、食べられない、涙が止まらない、出勤前に強い動悸がする状態が続くなら、早めに医療機関へ相談しましょう。
『看護師として働く』ことは、あなたの人生の一部にすぎません。
少し話はずれますが・・・
人生をマラソンに例えてみましょう。
マラソンをずっと全速力で走りきることは不可能ですし、
自分より明らかにペースが速い人に合わせて走っていると
ゴールに行きつくまでに体力がつきます。
息も上がるし、脇腹痛くなりますよね。
そうならないために自分なりのペースを把握しておくことが必要であり、それを崩さないことが大事です。
必要な時には休憩、給水を入れながら
自分の人生を自分らしく走り切りましょう。
4. 改善を求める内容と期限を決める
相談した後は、「何が変われば働き続けられそうか」を考えてみましょう。
たとえば、
- 夜勤の回数を一時的に減らす
- 指導担当者を変更してもらう
- 業務の優先順位を一緒に確認する
- 残業の原因を見直す
- 一定期間、面談の機会を設けてもらう
などです。
そのうえで、1〜3か月程度を目安に、状況が改善したかを振り返ります。
もし改善が見られないのであれば
自分のことを大事にしてくれない職場に、人生の大切な時間を使う必要はありません。
5. 転職先の情報を集める
今の職場が合わないと感じたら、すぐに退職するつもりがなかったとしても、転職先の情報を集めておくと安心です。
メンタルが極限の状態で転職先を探すと、とにかく新しい環境へという焦りから、本当に自分に合った転職先かどうかを見極められないことがあります。
ある程度自分のメンタルに余裕がある状態のうちに、新人教育の内容、プリセプター制度、夜勤開始の時期、残業時間、離職率、配属希望の反映状況などを確認しておきましょう。
看護師専門の転職サイトやハローワーク、都道府県看護協会のナースセンターなどに相談する方法もあります。
環境を変えることで自分のメンタルが前向きになったり、実際に環境を変えるまでいかなくても、何かあれば他に働きたいと思える場所がある状態を作っておくということが大事です。
転職を検討する目安
次のような状態が続いているなら、転職を前向きに検討してよいでしょう。
- 相談しても職場の状況が改善しない
- 教育や指導がなく、放置されている
- 暴言、無視、過度な叱責などが繰り返される
- サービス残業や過重労働が常態化している
- 体調不良や不眠、強い不安が続いている
- 医療安全上の不安を感じる
- その職場にいる限り、看護師を続けられないと感じる
転職は「逃げ」ではありません。
自分の心身を守り、看護師を続けるための選択肢の一つです。
ただし、心身が限界の状態で急いで退職すると、次の職場選びを冷静にできないこともあります。可能であれば、在職中に情報収集や相談を進め、退職後の生活費や手続きも確認しておきましょう。
今の職場を辞めること=看護師をやめることではない
もし今、
「もう辞めたい」
「自分は看護師に向いていない」
と思っている新人看護師がいたら、一度考えてみてください。
あなたが嫌になったのは、
「看護師」という仕事そのものでしょうか。
それとも、
「今の職場で働き続けること」でしょうか。
この2つは、似ているようで全く違います。
看護師を辞めるかどうかを決める前に、まずはそこを分けて考えてみてください。
あなたが看護師として働ける場所は、今いる場所だけではありません。
つらいときは、誰かに相談してもいい。
休んでもいい。
環境を変えてもいい。
そして、心身の安全が脅かされているなら、我慢よりも助けを求めることを優先してください。
看護師がつらいとき、誰が看護師を守ってくれるのか
誰よりもあなたのことを考え、看護師である自分を守れるのは、
他ならぬあなた自身です。
つらい時こそ自分と向き合って、
自分はどうしたいのか
自分の気持ちの趣く先はどこなのかをしっかり考えましょう。
あなたが看護師として働き続ける道は、一つではありません。
あなたの心に『看護の心』があれば
どこに行っても看護師として働いていけます。
おわりに
先ほど『看護の心』があればどこでも働けるといいましたが、
『看護の心』を持つためには
自分の心にある程度余裕が必要です。
自分のことでいっぱいいっぱい
限界ギリギリのメンタルでは
他人の健康を支える仕事はできません。
患者さんへ日々向けている『看護の目』を
ほんの少しでも良いので、
自分自身に向ける時間を作ってあげてください。
もしそれでも
どうしたらいいかわからない
職場に相談できる人がいない
そんな新人看護師さんがいるのなら
心の支えになりたい、自分と向き合うためのサポートをしたいという思いで
わたしは公式LINEを立ち上げました。
「職場が違うからこそ吐き出せる」
「自分の進む道に迷っている」
「こんなつらいこと言われたから話を聞いてほしい」
何でも良いです。
みなさんの心が少しでも軽くなって、明日を笑顔で迎えられるようにお手伝いします。
いつでも吐き出しにきてくださいね。
公式LINE

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