新人看護師の頃。
僕は自分のことを、
「マリオでいうクリボーなんです」
と言っていました。
スーパーマリオのゲームを始めると、一番最初に出てくる敵。
『クリボー』
敵キャラの中で最弱。
簡単に倒されてしまう。
そんなクリボーと自分を重ねて、
「病棟の中で一番仕事ができない看護師」
という意味で使っていました。
もちろん最初は、冗談のつもりでした。
でも今振り返ると、
あの頃の僕は、本気でそう思っていたんだと思います。
これは、
自分には看護師としての価値なんてないと思っていた僕が、もう一度「誰かのために仕事ができるようになりたい」と思えるようになった話です。
そして今、
「自分は仕事ができない」
「同期との差がどんどん広がっている」
「看護師に向いていないのかもしれない」
そう思っている人に、一番読んでほしい話です。
目次
- 名前を呼ばれるだけで「すみません」と言っていた
- 失敗する前から「どうせ失敗する」と思うようになった
- 「仕事ができない自分」に慣れてしまった
- そんな僕を救ってくれたのは、一人の患者さんでした
- 昨日の自分より、一つだけできることを増やす
- そして、何年も経って再会しました
- 今「自分はクリボーだ」と思っている新人看護師さんへ
- いつか「クリボーだった自分」を笑える日が来るかもしれない
- 最後に一人で抱え込んでいる新人看護師さんへ
名前を呼ばれるだけで「すみません」と言っていた
新人の頃の僕は、本当に失敗ばかりしていました。
仕事が遅い。
うまく報告できない。
一度教えてもらったこともできない。
また失敗する。
そんな毎日が続くうちに、
先輩から名前を呼ばれただけで、
「すみません」
と言うようになっていました。
先輩からは、
「まだ何も言ってないよ」
「名前を呼ばれただけなのに、なんですみませんって言うの?」
「今日からすみません禁止ね」
なんて言われていました。
でも当時の僕にとっては、条件反射みたいなものだったんです。
名前を呼ばれる。
↓
「また何かやらかした?」
↓
「どうしてこうなったの?」と聞かれるかもしれない。
↓
だったら、先に謝っておこう。
今考えると、
僕は先輩に名前を呼ばれただけで、
「怒られる未来」を先回りして想像していたんだと思います。
失敗する前から「どうせ失敗する」と思うようになった
そんな日々が続くと、
どんどん自分が小さくなっていきました。
何をするにも自信がない。
新しいことをする前から、
「また失敗するんだろうな」
と思ってしまう。
仕事に行くのが、ただただしんどい。
そして、そのしんどさは仕事だけでは終わりませんでした。
休みの日になっても気持ちが晴れない。
友達と遊んでいても、心から楽しめない。
翌日の勤務のことを考えて憂鬱になる。
そして口癖のように、
「僕はクリボーなんです」
と言っていました。
でも、本当に怖いのはここからでした。
「仕事ができない自分」に慣れてしまった
最初は悔しかったはずなんです。
できるようになりたい。
同期に追いつきたい。
先輩から認められたい。
そう思っていました。
でも失敗が続くうちに、
仕事ができない自分に、だんだん慣れてしまいました。
どうせ自分にはできない。
頑張っても失敗する。
また怒られるだけ。
名前を呼ばれただけで「すみません」と言っていたのも、
どうせ怒られるなら先に誤っておこう
という気持ちの表れだったのだと思います。
そんなメンタルのままで仕事をしている内に
だんだんとできるようになるための努力すらしなくなっていきました。
当然、同期との差はさらに広がります。
そして気づけば、
誰がどう見ても、
僕は病棟で一番仕事のできない新人看護師になっていました。
その頃は、
「僕が仕事に来ることで、先輩たちの仕事を増やしているんじゃないか」
とさえ思っていました。
自分がいるからフォローが必要になる。
自分が失敗するから先輩の仕事が増える。
自分がいなければ、みんなもっと楽に働ける。
そこまで自分を追い込んでいました。
そんな僕を救ってくれたのは、一人の患者さんでした
そんな時期に、
僕が担当することになった男性患者さんがいました。
僕はその方の前でも、いろいろ失敗しました。
それでもその患者さんは、
僕の失敗を一切責めませんでした。
「いいよ、僕は大丈夫だから」
そして、
「この失敗を、次の患者さんに活かしてあげて」
と笑ってくれました。
その方は、よく僕に言っていました。
「君はまだ新人さんなんでしょ。最初から全部できるわけないんだから。そうやって、なんでもだんだん上手くなっていくもんなんだよ」
僕の拙い看護を、
そのまま受け止めてくれました。
あの言葉を聞いたとき、
僕の中で何かが変わりました。
「この人のために、少しでもできることを増やしたい」
「この人に褒めてもらえるような看護師になりたい」
しばらく忘れてしまっていた
「できるようになりたい」
と思いを再び取り戻すことができたのです。
昨日の自分より、一つだけできることを増やす
それから僕は、
同じ失敗を繰り返さないように、
毎日一つだけ、うまくできなかったことを振り返る
ようにしました。
なぜ失敗したのか。
次はどうするのか。
そのために何を勉強するのか。
全部を一気に変えようとはしませんでした。
一つずつです。
僕が特に苦手だったことの一つが、点滴のルート穿刺でした。
何度もうまくいかなかった。
でもある日、
一発で血管内に留置することができました。
するとその患者さんが、
「ついに入ったね。おめでとう」
と言ってくれたんです。
今考えれば、
小さな成功だったのかもしれません。
でも当時の僕にとっては、
ものすごく大きな成功でした。
「僕でも、できるようになるんだ」
そう思えた瞬間でした。
そして、何年も経って再会しました
それから年月が経ちました。
僕は看護師を辞めずに働き続け、
今は救命救急の現場で働いています。
そして最近、
あの患者さんが受診に来られました。
新人時代の僕を知っている患者さんです。
僕の姿を見て、
こう言ってくれました。
「新人の時から比べると、本当に見違えたね」
そして、
「あの時、看護師辞めなくてよかったでしょ?」
その言葉を聞いたとき、
新人時代の自分を思い出しました。
名前を呼ばれるだけで、
「すみません」
と言っていた自分。
自分のことを、
「クリボー」
と呼んでいた自分。
看護師を辞めようと思っていた自分。
あの患者さんとの出会いがなかったら、
僕は看護師を辞めていたと思います。
「患者さんのために、できるようになりたい」
そう思うこともなかったかもしれません。
僕にとって、
本当に大切な出会いでした。
今「自分はクリボーだ」と思っている新人看護師さんへ
今、この記事を読んでいるあなたも、
もしかすると、
「自分は仕事ができない」
「同期より遅れている」
「先輩に迷惑ばかりかけている」
と思っているかもしれません。
でも、
今できないことと、これからもできないことは別です。
新人時代の僕は、
自分が救命救急の現場で働いている未来なんて想像できませんでした。
何をするにも自信がなくて、
失敗する未来ばかり想像していました。
だからこそ、
今できない自分だけを見て、
自分の未来まで決めてほしくないと思っています。
一度に全部できるようにならなくていい。
今日うまくできなかったことを、
一つだけ振り返る。
そして、
「次はどうすれば少し良くなるだろう?」
と考えてみる。
それで十分です。
僕がこの経験から伝えたいのは、
「頑張れば絶対に看護師を続けられる」
ということではありません。
つらければ環境を変えてもいい。
誰かを頼ってもいい。
看護師を続けるかどうかを考えることだってあっていい。
ただ、
失敗が続いている今の自分だけを見て、自分の価値まで決めないでほしい。
失敗することがあるということは
これからできるようになることが増えるということ。
あなたには『伸びしろ』しかないということです。
いつか「クリボーだった自分」を笑える日が来るかもしれない
理想の看護師は、
失敗しない看護師ではないと思っています。
失敗したときに、
そこから一つ学べる。
わからないときに、
「わかりません」と言える。
苦しいときに、
誰かを頼れる。
そして、
自分が先輩になったとき。
かつての自分と同じように、
自信をなくしている新人看護師がいたら、
「最初から全部できる人なんていないよ」
と言ってあげられる。
僕は、そんな看護師でありたいと思っています。
新人時代の僕は、
病棟で一番仕事ができない自分を「クリボー」と呼んでいました。
でも今思えば、
クリボーだったからこそ、
できない人の気持ちがわかるようになりました。
失敗して落ち込む気持ちも。
仕事に行きたくない気持ちも。
「自分なんて必要ない」と思ってしまう苦しさも。
あの頃の経験が、
今の僕の看護や発信につながっています。
だから、
もし今のあなたが、
自分を「仕事のできない看護師」だと思っていたとしても。
その評価だけで、自分の物語を終わらせないでください。
まだ途中です。
最後に一人で抱え込んでいる新人看護師さんへ
僕は、公式LINE、Instagram、noteを通して、
新人看護師さんや若手看護師さんに向けて、
「明日の勤務が少しだけ楽になる」
そんな発信を続けています。
Instagramでは、
急変対応やフィジカルアセスメントなど、
明日の勤務から使える看護知識
を中心に発信しています。
公式LINEでは、
noteの更新情報やSNSだけでは伝えきれない内容を届けています。
そして、
知識を増やすだけでは解決できない悩みもあります。
「毎日怒られてつらい」
「自信がなくなってきた」
「同期と比べてしまう」
「仕事に行きたくない」
「看護師を辞めようか迷っている」
そんなときのために、
ココナラでは、
答えを押しつけるのではなく、まずあなたの話を聴くこと
を大切にしています。
新人時代に自分を「クリボー」と呼んでいた僕だからこそ、
伝えられることがあると思っています。
「相談するほどじゃないかもしれない」
そんなことでも大丈夫です。
誰にも言えず一人で抱えてしまう前に、
誰かに話してみてください。
そして、
今日の自分だけを見て、
未来の自分まで諦めないでください。
あの日、
患者さんが僕に言ってくれたように。
最初から全部できる人なんていません。
少しずつでいい。
今日より明日、
できることを一つ増やしていけばいい。
かつて自分を「クリボー」と呼んでいた新人看護師も、
気づけば看護師17年目。
今も看護師を続けています。
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ココナラ

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